2014年1月1日水曜日

流行りの格安ソフトウェア無線をやってみた

ソフトウェア無線

 ソフトウェア無線(SDR)とは、従来アナログ回路で行っている変調・復調をDSP内やPC内のソフトウェアで行っちゃう技術です。ソフトウェアを書き換えるだけで変復調方式が変えられるとか、(理想的なSDRでは)チャネルが増えてもアナログ回路が増えないとかメリットいっぱいです。

理想的なSDR

 理想的なSDRは受信機能に特化すれば、アンテナとA/Dコンバータだけで構成できちゃう(実際には増幅器とかLPFとか必要だけど省略)。アンテナとA/Dコンバータをつないで、全受信信号をデジタル信号にしてPCなりに取り込みます。後はアナログ回路でやってた時と同じように、所望の周波数帯域をフィルタリングして取り出し、復調する操作をソフトウェア上でやればおk。
 A/Dした後の信号はコピーし放題なので、フィルタリングと復調のソフトを複数同時に走らせれば、アナログ回路を増やさずに、複数のチャンネルを同時受信することができちゃう。例えばTVチューナカードを何枚も刺さなくても全TVチャンネル同時視聴とかできる。
 ただ、実際にはA/Dコンバータのサンプリングレートの制限があるので実現しません。A/Dコンバータのサンプリングレートの1/2の周波数の電波しかA/D変換できないので。サンプリング定理。
 用意できたA/Dコンバータのサンプリングレートが6.4Mサンプル/sで、3.2MHz以下の電波しか受信する必要ないよ!って人はこの構成でおkです。


現実的なSDR

 SDRで問題になるのは、A/Dコンバータのサンプリングレート。サンプリングレートが高いA/Dコンバータはバカ高い。3.6Gサンプル/sのA/Dコンバータが50万円くらい。
 そこで、アナログの周波数変換回路を使用します。例えば、今回は6.4Mサンプル/sのA/Dコンバータが用意できたとします。でも、80~83.2MHzの電波(FMラジオです)を受信したいとする。そこで、80~83.2MHzの電波をアナログ回路上で周波数変換して、0~3.2MHzの信号にしてやってから、A/Dコンバータに入れてやります。あとはソフト上でFM復調すれば、FMラジオが聞けます。違う周波数範囲のFMラジオが聞きたければ、アナログ回路上での周波数変換を弄ればおkです。
 今回は指定した3.2MHz幅の信号しかA/Dコンバータに通してないので、周波数が3.2MHz以上離れた2つの電波は同時受信できないです。でも、80.0MHzのTFMと81.3MHzのJ-WAVEは同時に聞ける。


お買い物

 SDRに使用するソフトはネット上に無料で転がっているので、アンテナからA/Dコンバータまでのハードウェアを用意する必要があります。何とコレが1,000円くらいで買えます。サンプリングレートは6.4Mサンプル/sで、3.2MHz幅の受信が可能です。受信できる周波数は24MHz~1.7GHzです。本来は海外用テレビチューナですが、SDRに使える。
 このチューナのアンテナ端子がMCXなので、手持ちのアンテナに合わせてコネクタの変換が必要です。自分の場合は、下記2点を買って、合計で1,400円くらいした。アンテナは家に転がってたワイドバンド対応アンテナを流用。チューナはPCから離した方がいいので、USB延長ケーブルも使用を推奨。


ソフトのインストールから起動

 「R820T SDR」でググりましょう。チューナのドライバを置換します。あとは、SDR#ってソフトをインストールすればおk。

FMラジオを受信する

 SDR#を起動して、「RTL-SDR/USB」を選択してPlayを押すと復調が始まります。81,300,000Hzに合わせれば、J-WAVEの音が聞こえてきました!FMラジオで聞いても同じ音が出ますが、ソフトウェア上で復調してると思うと感激ですわ。
 表示されているスペクトルは81.3MHzを含む3.2MHz幅のスペクトルです。このスペクトルは、A/Dコンバータを通した後の信号にFFTをソフトウェア上でかけた結果です。中央の赤線が復調している中心周波数、薄くなっているのがソフトウェア上でかけているフィルタです。フィルタがかかっている部分の端をドラッグすると、フィルタ幅も変えられます。なんて自由自在。


地デジのスペクトルを見る

 地デジの復調はできませんが、スペクトルを見ることならできます。地デジは1チャンネルあたり6MHz幅なので、1チャンネルまるまる表示することはできないです。テレ朝(物理24ch)と日テレ(物理25ch)の間を見ると、430kHz幅のガードバンドが見えました。


アレやコレを受信する

 FMラジオを受信するだけじゃつまらない。24MHz~1.7GHzまでの電波が受信できるので、この範囲でSDR#が対応する変調方式の無線を傍受することが可能です。ということは、一般に売られている数万円の広帯域受信機と同じことができます。
 コンサートで使われているワイヤレスマイクは800MHz帯でWFM変調なので傍受できます。コードレス電話は380MHz帯でNFM変調なので傍受できます。他にも鉄道無線、マスコミ無線、業務用トランシーバなんかも、アナログ変調のものは傍受できちゃいます。電波法に触れない範囲で傍受を楽しみましょう。

終わりに

 1,000円ちょいで広帯域受信機、スペアナが手に入るなんてソフトウェア無線すごい。あと、1,000円ちょいで周波数変換器、A/Dコンバータが買える時代すごい。
 かなり強引な解説になってるので間違いだらけと思われる。詳しい人、教えて教えて。

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